人間の気高さを描く「真善美」3部作 完結!
“人の弱さ”をどう裁く。
銭に群がるのは悪党のみにあらず……。
奇怪な殺しに隠された真相とは!?
太物店(ふとものだな)『山形屋(やまがたや)』の主(あるじ)は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現われるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵(あんど)するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎(あおやぎけんいちろう)はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方(ゆくえ)をくらましていた。同じ頃、掏摸(すり)の死体が発見され……。