真の顔を映す鏡、心を惑わす刀、月の浮かぶ硯(すずり)……
煩悩(ぼんのう)溢(あふ)れる骨董(こっとう)に挑む、
天下一の審美眼!
人の心の闇を解き明かす、綸太郎の目利きが冴える!
古(いにしえ)より伝わる名硯(めいけん)をただ同然で入手し、骨董(こっとう)商『咲花堂(さくはなどう)』に持ち込んだ屑(くず)拾いの広吉(ひろきち)。店主の上条綸太郎(かみじょうりんたろう)に、硯(すずり)を水に沈めると月が浮かぶ仕掛けを見せられ、突然ある夢を思い出す。平城(へいじょう)京の世、自分の花嫁が攫(さら)われる夢だ。一方、広吉を探す娘がいた。病身の彼女は表から届いた彼の声が気になり……(「湖底の月」鏡、刀、春画。骨董とともに舞い込む事件を、綸太郎が明るく解決!