剣術家の娘にはじめての試練
父と母はそっと見守る

年の瀬も押し迫った江戸。金杉惣三郎（かなすぎそうざぶろう）の愛娘（まなむすめ）みわは不逞（ふてい）の浪人たちに取り囲まれ、窮地（きゅうち）に陥（おちい）っていた。そこへ細身の若侍が現われ、一瞬の早業（はやわざ）で浪人たちを撃退すると、名乗りもせずに姿を消した。みわの手に香の匂いを残して……。一方、惣三郎は尾張柳生（おわりやぎゅう）の四天王（してんのう）から立て続けに襲撃を受ける。いつ果てるともなく続く尾張との暗闘。その危害は、ついにみわにも及んだ。