本音を繕(つくろ)う面(つら)の皮、
剥(は)がしてみようか、占いで。
ズルもワルもお見通しの隠密易者が大活躍!
泣けて笑える人情時代推理小説。
「夫が髷(まげ)に白粉(おしろい)をつけてきたり、隠れて踊(おど)りの稽古(けいこ)をしているんです」易者姿の鬼堂民斎(きどうみんさい)は旗本の奥方を観ていた。芸者絡みの浮気とにらんだ民斎は、画数占いで仰天(ぎょうてん)した。夫とは南町奉行矢部駿河守定謙(やべするがのかみさだのり)だったのだ。真面目一徹(まじめいってつ)の駿河守がなぜ? 夕刻、白塗りの若衆(わかしゅ)の割腹(かっぷく)死体が発見された。脇差には“やべ様命”とあり……(お奉行を占う)。人情てんこ盛りの時代推理。