家出した老女、卑劣な詐欺組織、戦後70年の闇…
ふて腐れ屋の新米刑事は、悲劇の連鎖を止められるのか？

自意識過剰で独（ひと）りよがり。刑事になったのは警察小説を書くため――難ありの言動が災（わざわ）いし、窓際部署「よろず係」に飛ばされた真々田幸介（ままだこうすけ）は、高級老人ホームから失踪した寺尾（てらお）いづみの捜索を命じられる。愚痴（ぐち）りながらも駆け回るうち、探り当てたのは、戦後の闇を生きたいづみの過去と贖罪（しょくざい）、連綿と続く卑劣な犯罪の構図だった……。人間の深い業（ごう）と情を抉（えぐ）り出す、渾身（こんしん）の警察小説。