結衣(ゆい)が出奔(しゅっぽん)した。
父と息子は、因縁(いんねん)の尾張(おわり)へ急行する!
一糸(いっし)乱(みだ)れぬ親子の剣風
惣三郎(そうざぶろう)の次女結衣(ゆい)が姿を消した。昇平(しょうへい)によれば、結衣が宮地芝居の小屋から出てくるところを見かけたという。しかし当の一座は既に江戸を発(た)っていた。一座が向かった先は、惣三郎に仇(あだ)なす尾張(おわり)。これは偶然か、はたまた陰謀か? 息子清之助(せいのすけ)に助勢を頼む文(ふみ)を書き送った惣三郎は、老骨(ろうこつ)に鞭打(むちう)ち、東海道(とうかいどう)をひた走る。文を受け取った清之助も名古屋(なごや)に駆けつけ……。