お白洲では裁けぬ悪事、
晴らせぬ怨み…
すべてをぶった斬る!
〈奉行所に見放され、悲惨な末路を辿(たど)った人々の怨(うら)みを晴らしてほしい〉公事(くじ)宿大黒屋(だいこくや)は真っ当な裁きも受けずのうのうと生きる悪の始末を託した。千坂唐十郎(ちさかとうじゅうろう)の直心影(じきしんかげ)流の腕を見込んだのだ。唐十郎は許嫁(いいなずけ)を自刃に追いやった藩士を斬り脱藩、江戸へ逃れてきた剣客(けんかく)であった。早速、乾物屋主(あるじ)の不可解な失踪を探るが、鍵(かぎ)を握る男が斬殺されると別事件との関連が浮上し……。
(『公事宿始末人 淫獣斬り』改題作品)