橋の上から市井を見守る。
人気シリーズ、待望の新作!
母の切なる祈りよ、届け……。
辛苦をともにした一人娘を攫(さら)われた女将(おかみ)。
その哀しみを胸に、平七郎が江戸を疾駆する!
竜閑橋袂(りゅうかんばしたもと)で、美人女将の愛嬌(あいきょう)と絶品茶漬で繁盛(はんじょう)する『紅葉屋(もみじや)』の娘が攫(さら)われた。橋の管理を頼みに来ていた橋廻り立花平七郎(たちばなへいしちろう)は探索に乗り出す。凄腕の定町廻りだった平七郎は、閑職(かんしょく)と揶揄(やゆ)されつつも数々の難事件を解決、町人の信頼を得ていたのだ。やがて拐(かどわ)かし犯が房次郎(ふさじろう)という浪人を捜(さが)していたと発覚すると、女将は狼狽(ろうばい)する。房次郎は大和(やまと)の国で別れた夫だった……。