目を覆うほどの惨劇、
為す術(すべ)なしの絶望――
たった独りの闘い
嘲笑(あざわら)うように殺戮(さつりく)を繰り返す、
姿の見えない“悪”に晴山が挑む
俺は悟った。遅すぎた、と。
圧倒的な後悔とパニックだった、最悪の事態がいま勃発した。
この校舎の中のどこかで。(中略)
溺れているような気持ちで校舎に近づく。
間に合おうが間に合うまいが、行かなくてはならない。
俺は警察官だ――
〈世界中の大量殺人の裏には、人を操(あやつ)るゲームマスターという異能者が潜(ひそ)んでいる〉警視庁生活安全部の女刑事鷲尾(わしお)の話を、国立(くにたち)署の晴山旭(はるやまあきら)は一笑に付した。米軍の銃器横流し事件を単独で追う彼にはあまりに荒唐無稽(こうとうむけい)な話だった。だが、参考人の事情聴取に訪ねた高校の校舎から突然、銃声が! 階段を駆け上った晴山を凄惨(せいさん)な光景が襲い……。熱血刑事に迫(せま)る、最大の危機とは!?