鉄火肌の女主人お葉の粋な啖呵が心地よい、大人気シリーズ!
幸いか、禍(わざわ)いか――。
新しい命の火が灯ったとき、
衝撃の失踪事件が龍之介と日々堂を飲み込んだ!
日々堂(にちにちどう)で代書をする戸田龍之介(とだりゅうのすけ)を、無二(むに)の友桜木小弥太(さくらぎこやた)の姉が訪ねてきた。突然の来訪に戸惑う龍之介に姉は弟の失踪を告げる。桜木家に婿入(むこい)りした小弥太は三月(みつき)前に赤児(やや)に恵まれたが、妻の不義の子との噂(うわさ)があった。懸命の捜索にも拘(かか)わらず行方(ゆくえ)は杳(よう)として知れないものの、桜木家の秘事が明らかに。やがて、己(おのれ)を貫(つらぬ)く小弥太の真意を知った龍之介は――感涙の江戸情話。