忍び三人、闇刺客と相撃つ
火盗改(かとうあらため)の同心が、
ただ一刀で斬(き)り伏(ふ)せられた!
剛剣の下手人(げしゅにん)を追い、
泉十郎(せんじゅうろう)らは倉賀野宿(くらがのしゅく)へ
「おれは、赤鬼だよ」ガチッ、という金属音がし、青火(あおび)が散った。西崎(にしざき)が刀身で巨躯(きょく)の武士の斬撃(ざんげき)を頭上で受けた瞬間、腰から砕(くだ)けるように倒れた……。人影絶えた浜町河岸(はまちょうがし)で、火盗改めの同心・西崎が殺された。向井泉十郎(むかいせんじゅうろう)、植女京之助(うえめきょうのすけ)、おゆらの忍び三人は、公儀の命を受けて下手人を追う。中山道(なかせんどう)の先に立ちはだかるは「赤鬼」と「龍神」の異名(いみょう)を持つ強敵二人だった。