「これが娘の望む父の姿だ」
命の選択に、正解はあるのか。
火消としての矜持(きょうじ)を
全(まっと)うしようとする姿に、
あなたはきっと、涙する。
「八咫烏(やたがらす)」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶(かがとび)を率(ひき)いる大音勘九郎(おおとかんくろう)を非道な罠(わな)が襲う。身内を攫(さら)い、出動を妨害、被害の拡大を狙う何者かに標的にされたのだ。家族を諦(あきら)めようとする勘九郎に対し、「火喰鳥(ひくいどり)」松永源吾(まつながげんご)率いる羽州(うしゅう)「ぼろ鳶(とび)」組は、大音一家を救い、卑劣な敵を止めるため、果敢に出張るが……。業火(ごうか)を前に命を張った男たちの団結。手に汗握る傑作時代小説。