見守るしの、みわ、結衣(ゆい)
そして葉月(はづき)の想いを背に受けて……
命運、決す
金杉惣三郎(かなすぎそうざぶろう)と清之助(せいのすけ)父子の
剣者としての葛藤(かっとう)は、時に愛情に溢(あふ)れ、
時に絶望を呼び、不可解の裡(うち)に
真に父の懊悩(おうのう)を知り得た者は、
ただ倅(せがれ)一人でしかなかった。
なんて哀しい物語を私は書いたのだろうと思う。
同時に家族を想う父の深い愛の物語だ。
佐伯泰英
足掛け5年の修行の日々は、すべてこの日のため――。国中から豪腕辣腕(ごうわんらつわん)の武芸者が集結した上覧剣術大試合。出場者には、金杉惣三郎秘蔵の弟子神保桂次郎(じんぼけいじろう)も名を連(つら)ねていた。清之助は吉宗(よしむね)が推挙する唯一(ゆいいつ)の出場者として初戦を免除されたが、それは後半戦がより厳しくなることを意味していた。母や妹、葉月のお百度参りも続く中、清之助が一世一代の勝負の場に上がる!