尽くせるか、最愛の人のために。
伊豆沖を蹂躙する復讐の鬼と化した女海賊に、
市兵衛の“風の剣”が挑む!
唐木市兵衛(からきいちべえ)を相模(さがみ)の廻船問屋が言伝(ことづて)を持って訪ねてきた。相手は返弥陀ノ介(かえりみだのすけ)の許から姿を消した女・青(せい)だった。伊豆(いず)沖で海賊に捕らえられるも逃げだしたらしい。弥陀ノ介には内密にと請(こ)われ、市兵衛はひとり平塚(ひらつか)に向かう。一方、弥陀ノ介は〈東雲(しののめ)お国(くに)〉と名乗る女海賊の討伐のため浦賀(うらが)奉行所に派遣される。だが、お国は、弟を殺された哀(かな)しみで、復讐(ふくしゅう)の鬼と化していた……。