富商、武家、盗賊の三つ巴の争い
欲にまみれた男たち
剣一郎が見た悲しき争いの結末とは……
伽羅(きゃら)に似た香りの鬢付(びんづ)け油(あぶら)が大人気の『錦屋(にしきや)」。その主・卯三郎(うさぶろう)は、何でも金の力で他人のものを奪い取ると評判だ。ある日、腹を真一文字に斬られた男の死体が見つかった。青柳剣一郎(あおやぎけんいちろう)は、男が錦屋を探っていたと知り、卯三郎が本物の伽羅をつかっているのではと疑う。さらに、錦屋の用心棒が相次いで襲われ、大盗賊が伽羅を狙っていた話を耳にする。欲望渦巻(うずま)く争いの行方は!?