歴史小説界に超彗星現る!
押し寄せる上杉謙信軍一万五千!
全滅の危機迫る二千の城兵――。
下総(しもうさ)国臼井(うすい)城を舞台に、
室町将軍足利義輝(よしてる)に信頼され
北条(ほうじょう)家に力を貸した幻の軍師白井浄三(しらいじょうさん)の
凄絶(せいぜつ)な生涯を描く
永禄(えいろく)八年、上杉輝虎(てるとら)(謙信(けんしん)) が義(ぎ)を掲(かか)げ、下総国臼井城(しもうさのくにうすいじょう)に侵攻を開始した。総勢一万五千といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は二千ほど。後ろ盾となる北条(ほうじょう)家からの援軍は、わずか二百五十余であった。抗戦か降伏か、紛糾する城内をまとめるため、北条の武将松田孫太郎(まつだまごたろう)は道端(みちばた)の易者を軍師に仕立てた。白井浄三である。ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策し……。