旗本屋敷に潜入せよ!
幼い娘が殺された。
武家の理不尽な振る舞いの真相を探るため
相州屋の面々が動き出す!
奉行が裁けぬ悪を討つ。
「危ない」茶屋の看板娘お沙世(さよ)が叫んだ。侍の駆る馬に、団扇(うちわ)職人の娘が撥(は)ね飛ばされたのだ。侍は名乗ると、金を投げて立ち去り、娘は看病も虚(むな)しく死んだ。憤(いきどお)る札(ふだ)の辻(つじ)の住人たち。だが、人宿「相州(そうしゅう)屋」の主(あるじ)忠吾郎(ちゅうごろう)は旗本の挙動に不審を覚え、仁左(じんざ)たちに探索を命じる。仇討(かたきう)ちに走ろうとする娘の父親を宥(なだ)めつつ、策を練る忠吾郎の胸中は……。奉行が裁(さば)けぬ悪を討つ、第5弾。