大切な思い出はいつも、
美味しい料理と繋がっている
揉め事も、心配事も、女将の温かい料理が包み込む。
読めば誰かと食事をしたくなる、絶品時代小説。
蕎麦(そば)を打つ手に、力が籠(こも)る。柔らかだけれど、こしのある蕎麦。その蕎麦が、大切な人たちと結びつけてくれた。しなやかだけれど、決して途切れない縁を――。そう料理に感謝する縄のれんの女将(おかみ)お園(その)を、かつての店の居候(いそうろう)里江(さとえ)が訪ねてきた。再会を喜び合う二人。そんな中、常連の吉之進(きちのしん)のはとこという娘が、お園を目の敵(かたき)にし始めて……。心づくしが胸を打つ絶品料理帖。