誇るべし、父の覚悟
京都を未曾有(みぞう)の大混乱に陥(おとしい)れる
火付犯の真の狙いとそれに立ち向かう男たちの熱き姿!
「人も同じ、身分は違えども煙草(たばこ)の銘柄ほどのもの」煙管(きせる)の吸い口を見つめ、平蔵(へいぞう)は人の儚(はかな)き生を思い、正義と悪との境(さかい)を憂(うれ)えていた――。京都西町奉行長谷川(はせがわ)平蔵は、火を用いた奇(き)っ怪(かい)な連続殺人を止めるため、最も頼りにする江戸の火消、松永源吾(まつながげんご)を京に呼ぶ。源吾は平蔵の息子・銕三郎(てつさぶろう)と真相に迫るが、やがて銕三郎が暴走し――。勇壮な男たちが京の街を駆け抜ける!
いまのうちからお読みになっておくことをおすすめしたい
この銕三郎になにが起こるのかを、ここに紹介してしまっては読書の興を削いでしまうので書けない。書くことが出来るのは、エピローグの挿話が素晴らしい、ということだけだ。ここで描かれる光景が、余韻たっぷりの美しい場面であり、この一シーンだけで本書は成立していると言っても過言ではない。(解説より)