跳べ、若軍鶏(わかしゃも)よ!
“老い”の自覚のなか、息子や弟子たちの成長と
旅立ちを見守る源太夫。
7年の歳月が過ぎ、齢(よわい)54となった園瀬(そのせ)藩の道場主岩倉源太夫(いわくらげんだゆう)。だれにも避けることのできぬ“老い”を自覚しつつも、かつて退(しりぞ)けた剣士の挑戦を再び受けて立つ。挑戦者の註文(ちゅうもん)は「真剣で」だった――(『歳月』)。道場を開いて弟子を持ち、後添(のちぞ)いにみつを娶(めと)って、思いがけず子を得た源太夫。息子の成長と旅立ち、弟子の苦節と克服を見守る、透徹(とうてつ)した眼差(まなざ)しの時代小説。