熱いものを残す読後感!
──杉江松恋氏(書評家)
あの娘に限って自殺などありえない。真相を探る男の前に、元ヤクザの若者と悪漢刑事が現れて……?
一九七九年の山口県岩国(いわくに)市──警察を辞めた椎名高志(しいなたかし)のもとに、刀根奈津子(とねなつこ)の自殺の報が届いた。元ヤクザの娘で、父親の服役中に面倒を見ていたこともあり、椎名にとって実の子同然の存在だった。自殺などありえない。真相を探ろうとする椎名の前に現れたのは、顔に刀傷のある若い男。なぜか警察からは邪魔が入り──。陰謀渦巻く先に、男たちが見た哀しい真実とは……?