原作者と往(ゆ)く2009年NHK大河ドラマ「天地人」の舞台!
越後から能登、京都、会津、そして米沢へ――
全国60箇所にのぼるスポットを多彩なビジュアルで辿る!
主人公・直江兼続(なおえかねつぐ)とは――
「天下の政治を安心して任せられるのは、直江兼続など数人しかいない」
――豊臣秀吉にこう言わしめた男。
上杉謙信を継いだ景勝を終生にわたり支えつづけ、「越後上杉の懐刀(ふところがたな)」と呼ばれる名将である。
兼続は「利」のみを追求する戦乱の世にあって「義」の生き方を貫き、徳川家康の専横にも屈しなかった。
越後、会津、米沢、それぞれの領地経営に優れた手腕を発揮したことでも知られる。
その兜の前立てには「愛」の一文字が掲げられている。
<直江兼続の「原点」を見つめる旅へ>
正直、『天地人』が2009年度NHK大河ドラマの原作に決定したと聞かされたときには驚いた。
主人公の直江兼続は、豊臣秀吉が「天下執柄(しっぺい)の器量人」と評したほどの智将だが、一般にはあまり名が知られていない。
しかも、大名家の陪臣(ばいしん)という立場である。関ヶ原合戦で敗北した側の武将が、大河ドラマで描かれるのも初めてだという。
兼続という男のいったい何が、開かないはずの扉を押し開けさせたのか――。
それを私は、もう一度、自分の目でたしかめてみたくなった。感情に流されることなく、冷静な視点で直江兼続の原点を見つめてみようと思った。(本書まえがきより)