国家は1人の日本人と国民の財産を蹂躙(じゅうりん)した!
「事件」はつくられていた。
「通過偽造・同行使」の被疑者とされた
日本人コイン商が今、真相を語りはじめる。
「史上最大のニセ・ガネ事件」に隠された国際的陰謀
日本がバブル景気に浮かれていた1990年1月29日、国民はある「事件」に仰天した。昭和天皇在位60年を記念した10万円金貨(通称『ヒロヒト金貨』)の“偽造品”がスイスから日本国内に大量に流入したと警視庁が発表、“被害総額”は100億円を突破した。
それから20年、作家の「僕」は、この事件で渦中の人物となった日本人コイン商に出会い、警視庁での厳しい取り調べや、「ヒロヒト金貨」の発行・流通・真贋鑑定にまつわる一部始終を聞かされる。コイン商は「僕」に顛末の公表を願った。
イラン・イラク戦争(1980年)、ロン・ヤス会談(1983年)、プラザ合意(1985年)、イラン・コントラ事件(1986年)……。「事件」の背後に浮かび上がる、バブル期の日本を巻き込んだ国際的陰謀。20年の時を経て、事件の闇が暴かれる。