ゴスペル・ソング(福音の歌)は単なる宗教音楽ではなかった!
その歌詞に秘められたもう1つの意味と、奴隷逃亡支援組織「地下鉄道」の関係とは?
黒人霊歌と米国の歴史に新たな光を当てた、画期的探求!
序章 アメリカ黒人音楽と私
第一章 アメリカにおける黒人奴隷
第二章 「地下鉄道」という秘密組織
第三章 「車掌」と「乗客」の話
第四章 「地下鉄道」の終着駅
第五章 黒人霊歌と暗号
南北戦争(1861〜65)前夜の19世紀アメリカ、そこには「地下鉄道」(Underground Railroad)という名の、黒人奴隷の逃亡を支援する秘密組織があった。奴隷制下の南部諸州から、北部自由州あるいはカナダへと脱出を試みた奴隷たち。それを成功させるべく奴隷廃止論者や市民、すでに逃亡に成功した元奴隷たちが協力し、密かに作り上げた地下組織であった。
一方、奴隷たちは、その過酷な生活と信仰の中から数々の歌を生み出した。現在のゴスペルの源流――黒人霊歌である。一見、聖書世界を歌っているように見えるその歌詞だが、実はその裏には「地下鉄道」に関わる「暗号」が隠されていた。本書は、奴隷解放後100年余を経てようやくわかってきたこれらの事実に、日本人音楽家である著者が光を当てた、画期的探求の書である。