渡る世間は揉め事ばかり――
それでも母娘はたくましく生きていく
人生、なるようになるさ
お江戸日本橋を舞台に描く人情時代!
<人生いろいろ、厄介事もいろいろ健気(けなげ)に暮らす母娘の明日は――>
錺(かざり)職人の夫が急逝し、義理の子供たちから家を追い出されてしまった後添(のちぞ)えの八重。先妻の子・おみちと日本橋堀江町(ほりえちょう)に引っ越して小間物屋を開いた。血のつながりはないが、実の親子のように仲の良い二人。新しい生活は希望に満ちていた。しかし、向かいに岡っ引きでも手を焼く猛女のお熊が住んでいたからたまらない。しかも、この鼻摘まみ者の息子におみちが気のある様子。頭を悩ます八重のもとに、自分たちを追い出した義理の息子が金の無心に現われて……。