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産声が消えていく
ウブゴエガキエテイク
著者名 太田靖之
在庫なし

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ISBNコード 9784396633035
判型/頁 四六判/376頁
価格 1,870円(税込)
発売日 2008/07/22

医師不足、過重労働、理不尽な訴訟……。
聞こえるのは現場の悲鳴か、断末魔か?
ここに描かれたことは、日本の医療の現実である!
志(こころざし)を抱き奮闘する現役医師が描いた、衝撃の医療小説!

<この国の医療に警鐘を鳴らす渾身作!>
人の行ないに正解などあるはずもない。しかし、菊池は、正解を求め続けられる立場に身を置いていた。あの時と同じ状況に再び遭遇したら、自分はどうするだろうか。やはり、目の前の患者を助けるであろうと、菊池は考えた。それなら、やはり自分には過失がない。過失がなかったと主張するのは、菊池とともに被告になっている病院も同じだった。いや、菊池以上に病院は過失を認めないであろう。なぜなら、患者を断わらずに診(み)るというのが、病院の理念であり、診療方針だったからだ。(本文より)

〈いかなる患者も診(み)る〉という診療方針を掲(かか)げる希望会総合病院。医療関係者からは異端と見られ、ハードな研修制度で知られるこの病院に、志(こころざし)あふれる産婦人科医・菊池堅一(きくちけんいち)は入職した。しかし現実は甘くなかった。医師不足、過重労働、そして理不尽な医療訴訟。過酷な労働環境は、精神的にも肉体的にも菊池を疲弊させていく。そして、菊池に降りかかった事件。入院患者の分娩(ぶんべん)中に救急産婦の治療が重なり、新生児に障害を残してしまったのだ。人手のない夜勤中での出来事だったが、菊池は適切な治療を怠(おこた)ったとして、一億を超す支払いを求める訴訟を起こされる。菊池に過失はあったのか? 最前線で奮闘する現役医師が医療崩壊の実態をあますところなく描いた渾身作!