――赦(ゆる)してあげられなくてゴメンね。
『ひょうたん公園』に集う人々は
あの頃に還(かえ)っていく
今、大注目の著者が
人生の岐路(きろ)を描いた傑作
そうだ。それがどんな種類の腹立たしさであっても、怒った数だけ赦さなければならない。何故なら、私もまた赦されているのだから。あの日、私はそう考えた筈(はず)だ。そして、柔らかい笑みをたたえた人でありたいと思った筈だ。季節は冬の初めだったけれど、ちょうど今日のような日だった。空は今日のように晴れ渡り、私は今日のように軽い自己嫌悪に陥(おちい)っていた。
(「アカベー」より)