夏休みの老朽校舎に出現した死体の謎……
[英国伝統ミステリのコクとユーモアがたっぷり!]
「矢上(やがみ)教授と誰もが呼び習わしているが、正確には教授ではなく、非常勤講師の身の上だ。ただし、70年配で白髪(はくはつ)に白髯(はくせん)という風貌(ふうぼう)は、世間一般が抱(いだ)く教授のイメージにぴったりくる。所属は生物総合学部。にもかかわらず、矢上の専門は、なんと、日本古典文学である。……非常勤講師で、しかも生物総合学部には、まったくそぐわない専門分野のくせに、一応自分の研究室まで確保しているのだ。そんな、何か裏の権力に通じているように見えるいかがわしさがミステリアスであると、言えば言える。そう、ついでに言えば、教授はミステリの蒐集魔(しゅうしゅうま)である」……本文より