HOME > 書籍 > 祥伝社の書籍 > 神の国に殉ず 小説 東条英機と米内光政




全巻を見る
神の国に殉ず 小説 東条英機と米内光政 下
カミノクニニジュンズショウセツトウジョウヒデキトヨナイミツマサゲ
著者名 阿部牧郎
在庫なし

※在庫について
ISBNコード 9784396633493
判型/頁 四六判/472頁
価格 2,310円(税込)
発売日 2010/10/29

一体誰が彼らを裁けるというのか?
東京裁判で1人は被告人席に、もうひとりは証言台に。
同じものを愛し信じた2人の軍人。
彼らの運命を分けたものは何だったのか――。

対米交渉は決裂した。開戦は秒読み状態となった――
米内(よない)も沈黙をまもった。海相、首相時代をつうじて生命がけで三国同盟に反対したのは、いったいなんのためだったか。怒りとともに無力感にかられていた。……
「それにしても岩手の軍人は、昭和の世にも国賊になる気なのだな。東条(とうじょう)、板垣(いたがき)、及川(おいかわ)が雁首(がんくび)そろえて対米強硬論なのだから」……
畳のうえに東条は正座し、皇居に向かって平伏した。最後の御前会議のあいだ、身じろぎもせず出席者の発言をきいていた天皇の神々(こうごう)しい顔が脳裡(のうり)にうかんでいる。おゆるしください陛下。戦争にはかならず勝利します。……
なにがなんでも重責をはたし、開戦を防げなかったわが罪をおゆるしいただく所存でございます。涙がとまらず、東条はむせび泣いた。
(本文「濁流」より)