心臓外科医は、なぜ消えた?
「ドナー予定者」「友のいない男」「関西弁の呟き」……。
かすかな手がかりを、元刑事・鹿川奈月が追う!
医療ミステリー界の気鋭が贈るノンストップ・サスペンス!
「私は孤独以外の何ものでもなかった。でも現実から目をそらし、憑(つ)かれたように働いた。佐藤基樹(さとうもとき)も、そういう生活をしていたのだろうか?」
肝臓移植のドナーになるはずだった心臓外科医・佐藤基樹が失踪した。佐藤のかつての恋人・遼子から捜索を頼まれた元刑事・鹿川奈月は男の生まれ故郷を訪ねる。しかし、以前そこにいた「佐藤基樹」はまったくの別人だった。“佐藤”とは何者なのか? そして、なぜ逃げるのか? 足取りを追う奈月は、孤独な男の影にいつしか自らを重ね合わせていた……。