刀、女、酒。
熱くたぎった天才鍛冶の波乱の日々!
利休(りきゅう)、虎徹(こてつ)、そして…新たな“鬼”
幕末の名工を直木賞作家が描く!
「この刀はおれです。おれのこころです。折れず、撓(たわ)まず、どこまでも斬れる。そうありたいと願って鍛えたんだ」
信州小諸(こもろ)藩赤岩(あかいわ)村に生まれた山浦正行(やまうらまさゆき)、のちの源清麿(みなもとのきよまろ)は、9つ上の兄真雄(まさお)の影響で作刀の道にのめりこむ。大石(おおいし)村の村役人長岡(ながおか)家に17歳で婿に入るが、その熱情は妻子をおろそかにさせるほどたぎるのだった……。