あんなに素敵な出会いは、もう訪れない気がする。
交錯し、すれちがう、「すぐり」と「おれ」の現在と過去。
女と男、ふたつの視点から描く、恋の行方は?
あのとき、あなたは何を考えていたの?
あのとき、きみは何を見つめていたのだろう。
高萩草介、ケーブルテレビ会社営業マン。向井すぐり、保育士。
偶然の出会いから親しくなっていくふたり。「今度人を好きになるときには相手のことを深く知ってからにしよう」と考えるすぐりは、草介の過去や家族について知りたがる。だが、デートの最中になぜか、しばしば姿をくらます草介は、「おれ、ときどき、消えたくなるんだ」と告白する。
不器用な恋の奇跡。それでも辿り着いた風景。
ラスト3ページに、涙。