突然お母さんが消えた9歳の夏、ぼくははじめて素顔のお父さんを知った。
映像・小説界期待の気鋭が、イラストとのコラボレーションで描く親子の絆
はじめて、きちんと向き合ったぼくとお父さん。
ふたりきりの夏休みが、はじまる。
病気になったお母さんは突然、新潟の実家に帰ってしまった。
いつも仕事ばかりのお父さんはめったにうちに帰ってこないので、ぼくはひとりになった。
誰の指図も、もう受けない、とぼくがやけくそになったその矢先──。
夏休みがはじまる日に、5カ月ぶりにお父さんが帰ってきた。
「この夏は、俺にとっても夏休みなんだ。家のことがちゃんとするまで、仕事はずっと休むつもりだから……」