ロングセラー『モルヒネ』の著者が「恋」と「成長」を描く、真っすぐで切実な恋愛小説
彼女は幾度でも、恋に落ちていく。
──あたらしい人を好きになるのは、初めての海で泳ぎ出す感覚に似ていると瑠璃は思う。
恋の相手に囚(とら)われたのか、それとも、胸を焦がす恋そのものの力に囚われているのか。
17歳──彼と一緒に死ぬつもりで、手首を赤い糸で結び合わせ、瑠璃は竹富島の海に入った…
21歳──海外からわざわざ訪ねてきた画家。その指から香る松脂の匂い。
22歳──瑠璃が恋した男は「他人を振り回し、他人の時間を奪う〈時泥棒〉」だった。
23歳──取材に訪れた新聞記者は既婚者だった。魅かれるものの、思いは焦れて…
24歳──静養で訪れた竹富島。変わらない美しい光景と、そこには瑠璃を待つ人がいた…