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高砂 なくて七癖あって四十八癖
タカサゴナクテナナクセアッテシジュウハックセ
著者名 宇江佐真理
在庫なし

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ISBNコード 9784396634193
判型/頁 四六判ハード/256頁
価格 1,650円(税込)
発売日 2013/08/30

惚(ほ)れたはれたで終わらないのがしみじみ、いい夫婦───。
4人の子持ちで飲んだくれの畳(たたみ)職人、
小普請組(こぶしんぐみ)の武家に嫁いだ大工の娘、
幼い頃から見世(みせ)を支えた口入れ屋の若お内儀(かみ)……

倖(しあわ)せの感じ方は十人十色
懸命に生きる男と女の縁(えにし)を描く、
心に沁(し)み入る珠玉の人情時代小説。

「へ、へい。なるべく酒はやめます」
義助は、最初とはうって変わり、殊勝(しゅしょう)に応える。
「なるべくは駄目。あんたの場合、一杯飲んだら元の黙阿弥(もくあみ)だよ。きっぱりやめたほうがいいんだ」
「そんな……」
「それができないなら離縁だよ」おいせは脅(おど)すように言う。
「離縁、離縁って簡単に言うない。世間様はそうそう離縁なんてするものか」
「おあいにく。あたしは一度離縁された女で、うちの人は三度も離縁しているのさ。離縁の玄人(くろうと)だよ」
(「夫婦(めおと)茶碗」より)

夫婦喧嘩(ふうふげんか)の仲裁は世のため、人のため。
日本橋堀留町の会所(かいしょ)の管理人、又兵衛(またべえ)とおいせは大忙しの毎日で……。