『蜩ノ記(ひぐらしのき)』の感動から2年。
豊後(ぶんご)・羽根(うね)藩を舞台に“再起”を描く入魂作!
どん底を、なお生きてこそ───
落ちた花を再び咲かすことはできるのか?
襤褸蔵(ぼろぞう)と呼ばれるまでに堕(お)ちた男の不屈の生き様。
生きることが、それがしの覚悟でござる──
俊英と謳(うた)われた豊後(ぶんご)・羽根(うね)藩の伊吹櫂蔵(いぶきかいぞう)は、狷介(けんかい)さゆえに役目をしくじりお役御免、今や“襤褸蔵(ぼろぞう)”と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督を譲(ゆず)った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。前日、何事かを伝えにきた弟を無下に追い返していた櫂蔵は、死の際(きわ)まで己を苛(さいな)む。直後、なぜか藩から弟と同じ新田開発奉行並として出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がる決意を固めるが……。