あたしは猫であると同時に、音楽なの。
ねえ。あたしのメロディが聴こえる?
黒猫のクロエ、ゴールデンレトリバーのジュディ、
ドールハウス製作に打ちこむ栞、イラストレーターの優喜。
Cat Meets Dog そして、Girl Meets Boy──
いま、奇跡のような物語が、生まれる。
「ついに会っちゃいましたね」栞が冗談めかした調子で言うと、
「そうですね」優喜はうなずいたあとで、数秒の後に、
「やっと会えた」まるで運命の恋人に囁くみたいな科白を、
おそろしく無造作でありながら、
それでいて、掛け値なしに優しい声で言った。(本文より)
イノセンスは永遠だろうか。
ボリス・ヴィアンの『日々の泡』に捧げられた、
限りなく優しくて哀しい、どこか不思議な、GirlとBoy、猫と犬の物語。