新時代への希望を胸に成長する青年が事件を追う、
気鋭の長編時代書下ろし!
開化の帝都に連続する死。
“4人の敵(かたき)”は誰なのか?
戊辰(ぼしん)戦争で孤児となった会津(あいづ)の青年琢磨(たくま)は、16歳を迎え、築地(つきじ)外国人居留地近くの西洋茶店都鳥(みやこどり)に寄宿することとなった。主人の祐三郎(ゆうざぶろう)は、書生を無償で西洋塾に通わせる奇特な人物。だが、訪ねた矢先、新橋(しんばし)の牛鍋(ぎゅうなべ)屋主人治五郎(じごろう)が割腹(かっぷく)死体で発見される。明治の世に切腹? 侍(さむらい)の出ではなく、若い頃の悪事を悔いて洗礼を受ける予定だった治五郎が、自死を選ぶのは不自然だった。さらに、この事件には、一連の敵(かたき)討ちの端緒と思われる、ある理由があった。
続発を防ぐべく、琢磨たちが治五郎の過去を洗い始めた矢先、第2の殺しが……。