厳冬の大雪山(たいせつざん)を舞台に描く本格山岳小説の白眉
その峰を越えるか、とどまるか───
幻のオオカミ探しに人生を賭けた仮釈放中の男。
父の遺志を継いで再出発した山岳写真家。
彼らの真摯(しんし)な魂が触れ合うとき、奇跡が起こった──。
大自然の豊穣(ほうじょう)たる魂を高らかに謳(うた)う本格山岳小説!
風間健介(かざまけんすけ)は急逝(きゅうせい)した父の遺志を継ぎ、広告カメラマンから山岳写真家へと転身した。父の愛した厳冬の大雪山(たいせつざん)で撮影中、風間は絶滅したはずのオオカミを探す田沢保(たざわたもつ)と出会う。十数年前、遭難の危機をオオカミに救われたという。さらに、彼が亡き父を尊敬していたこと、そして、大規模リゾート開発に絡んだ殺人犯だということを知る。風間は田沢と行動をともにするうちに彼の冤罪(えんざい)を信じた……。