恋愛小説の名手が描く、すこし不思議な短編集。
普通じゃない私を、受け入れてくれるのは誰?
存在感を消してしまった少女。
瞬間移動の力を手に入れた引きこもり少年。
危険な発火能力を持つ、木造アパートの住人……
どこかおかしくて、ちょっぴり切ない
超能力者×恋物語
この世界で、たしかに生きていると信じたい――。
そこらへんに落ちている石ころのように人畜無害で、存在感のない人間、鈴木伊織。彼女がこんな存在に成長したのは、生きるためだった。鈴木伊織のことを認識できるのは、友人の春日部さやか、ひとりだけ。そんな不思議な力を持つ彼女は、春日部の話をきっかけに、上条先輩のことを知る。かっこいい先輩は、バスケ部で主力選手として大活躍。気になった鈴木伊織は“体質”を活かして、こっそり彼のストーキングを始めたが……
――――――「私は存在が空気」より