日本人の凛たる姿を示す
著者畢生(ひっせい)の
羽根(うね)藩シリーズ、待望の第4弾!
ただ一心に尽くすのみ――
覚悟に殉(じゅん)じた武士。
独り耐えるしかなかった女。
その寂寥(せきりょう)に心を寄せた、
孤独しか知らぬ男。
ひとはなぜ、かくも不器用で、
かくも愛しいのか?
一揆(いっき)から3年、豊後(ぶんご)羽根(うね)藩の欅(けやき)屋敷で孤児を見守り平穏に暮らす楓(かえで)の許(もと)を、謎の男・草薙小平太(くさなぎこへいた)が訪れる。彼には楓の元夫で、大功を挙げた後、藩主・三浦兼清(みうらかねきよ)の旧悪を難じ上意(じょうい)討ちに遭(あ)った前家老・多聞隼人(たもんはやと)と因縁があった。だが、楓と出会った刹那(せつな)、小平太の中に一つの想いが芽生(めば)える。やがて兼清の罪を断じ羽根藩の改易(かいえき)を目論(もくろ)む幕府の巡見使来羽(じゅんけんしらいう)の時が迫る中、旧悪を知る楓たちには藩の魔の手が……。