認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、
それでも消せない“秘密の絆があったーー
八十六年の人生を遡(さかのぼ)る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!
日本推理作家協会賞受賞作
『愚者の毒』を超える、魂の戦慄!
過去の断片が、まあさんを苦しめている。
それまで理性で押さえつけていたものが溢れ出してきているのだ。
彼女の心のつかえを取り除いてあげたいーー
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を“最後の旅”に連れ出すことにした。
それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。
大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の過酷を
生き延び、今日の平穏を得たのか。
彼女が隠しつづけてきた秘密とは?
旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、
老女たちの運命は急転するーー。
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日本推理作家協会賞受賞作
『愚者の毒』を超える、魂の戦慄!