なんということをやってくれたのだ。この作品そのものが
“小説の書き方”の、優れたテキストになっているではないか!
細谷正充氏(文芸評論家)
「わたしは、さらわれた子ども」−−−
小説家志望の美女の不審死。
遺作『失踪』に隠された忌まわしき記憶。
偽りの素性に即席探偵コンビが挑む!
元「小説新潮」編集長が満を持して放つ、
完璧なミステリー!
すべてがミステリー
突然死した藤堂理沙の死因の調査をしてほしいーー。依頼を受けた高円寺の私立
探偵・常念勝は、理沙の親友である麻川マリから、理沙が小説教室で提出した作品
『失踪』を渡される。誘拐された子どもが生みの親を訪ねるという内容は、かつて自分
を「さらわれた子ども」と語っていた理沙そのもの。常念とマリは、理沙の執筆の足跡
をたどり、神戸、京都、大阪へと飛ぶ。いないはずの弟、消えたパソコン、二人を襲う暴
力……。複雑に絡まり合う謎と、輪郭をなくしていく理沙の正体。常念は理沙の遺した
フィクションの迷宮にはまっていく……。