時代小説の名手が描く、ホロリと泣かせる
大江戸謎解き物語。
万両店の廻船問屋の末弟、鷺之介は齢十一にして悩みが尽きない。
その元凶は、かしましい三人の姉。
姉さん、また事件ですか?!
とっとと嫁に行ってもらって、静かな余生を送りたいーーーー
万両店の廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は齢十一にして悩みが尽きない。
かしましい三人の姉ーお瀬己・お日和・お喜路のお喋りや買い物、芝居、物見遊山に常日頃
付き合わされるからだ。遠慮なし、気遣いなし、毒舌大いにあり。三拍子そろった三姉妹の近くに
いるだけで、身がふたまわりはすり減った心地がするうえに、姉たちに付き合うと、なぜかその先々で
事件が発生し……。そんな三人の姉に、鷺之介は振り回されてばかりいた。
ある日、母親の月命日に墓参りに出かけた鷺之介は、墓に置き忘れられていた櫛を発見する。
その櫛は亡き母が三姉妹のためにそれぞれ一つずつ誂えたものと瓜二つだったーーー。