知られざる古典的名著、待望の本邦初訳
「中世が欠如した国」の悲劇!
この国には、なぜ騎士道精神がないのか!?
【本書について】
著者のチェスタトン(1879〜1918年)は、イギリスのジャーナリスト。高名な作家G・K・チェスタトンの弟。第一次大戦に従軍し、戦病兵として入院中に本稿を執筆。著者は間もなく亡くなり、本書は死後に出版された。100年近く前の刊行であり、扱っている時代も、当然のことながらアメリカの第一次大戦の参戦までである。こうした不備が指摘されながらも、その後「恒久的価値をもつ書物」としての評価を受け、2007年以降だけでも、30種類以上の復刻版が出版されている。アメリカ人の研究者にはない独自の視点を持ち、とりわけ「アメリカ史における忠世の欠如」という指摘は特徴的。本書は、この古典的名著の本邦初訳である。
全く新しい「アメリカ史」を見る視点 渡部昇一
私は本書を読んで、全く新しい「アメリカ史」を見る視点を与えられた気がした。それはアメリカには中世が欠如しているという視点である。アメリカ建国の父と呼ばれるピルグリム・ファーザーズが、いずれもカルヴァン派の新教徒であったのだから当然である。建国の頃の公共的建築の様式、奴隷制度の復活、敵をも同等と見る精神(騎士道)の欠如など、いずれも、「アメリカには中世が欠如している」という指摘で最も的確に説明されることであろう。
日本人の私としては、何故マッカーサーが、自分に劣らぬ軍人であるはずの本間雅晴(ほんままさはる)大将や山下奉文(やましたともゆき)大将を処刑にしたかも、本書によってよくわかる。アメリカのウエスト・ポイントの秀才将軍マッカーサーには、武士道(騎士道)の精神が全く欠如していた。
「監修者まえがき」より