あの「崩れ落ちる兵士」を撮ったのは、彼女かもしれない
ナチスから逃れ、パリに渡り、戦場に散った“もうひとりのキャパ”、その短くも壮絶な一生をたどる
渾身の解説50枚
私はゲルダという女性の像が
明確になってきたことに、興奮を覚えた
沢木耕太郎「旅するゲルダ」
ゲルダについて、私たちは多くを知ることがなかった。ある時期までは、リチャード・ウィーランが著わした『キャパ』の中で触れられている彼女についての情報がすべてだった。だが、ウィーランのゲルダは、あくまでも「キャパの恋人」としてのゲルダだった。キャパにとってどのような意味を持つ存在だったのか、という観点を大きく出ることはなかった。ところが、ここにイルメ・シャーバーの『ゲルダ』が現れた。私は、あらためてゲルダという女性の像が明確になってきたことに、興奮を覚えた。(「解説者まえがき」より)
伝説の女性戦場カメラマンの肖像
初の日本語訳
ゲルダはキャパの
「最愛の人」だけの存在ではなかった