戦車に撃たれた!
戦車の砲身がこっちに向いた! 身体が真後ろに吹き飛び、背中を強打した。鼓膜が破れそうな爆発音とともに、顔面に痛みが走った。コンクリート片が無数に突き刺さっとる。撃たれた。頭が真っ白になって……
(「戦車砲弾にブッ飛ぶ!」より)
<戦争取材とはこんなに儲かるのか!>
帰国後しばらくは、驚いたことに民放番組への出演が続いた。しかし、最も驚いたのは銀行で通帳を記帳した時であった。
「ゼロが? ゼロが……、ゼロが!」
単独の取材のギャラとしては破格の金額が振り込まれていたのである。文藝春秋だけでなく、民放からも……。
こういうのを「ジェロジェロ、ワンダフル!」というのであろう。戦争とは、いや戦争取材とは場所とタイミングさえドンピシャなら、こんなに儲かるのかと、カメラマン生活20年目でやっとわかった。
(あとがきより)