[HER]を超える怪作、誕生。
少女の正体は魔性か、凡庸か。
「あたしがわるいんです」
「値段のついてる『おんなのこ』……あたしとは違ういきもの」
手島日波里(てしまひばり)、14歳。
同い年の子どもより、肉感的な身体つき。
彼女を知れば、男はたいがい性的な感情を抱き、
女はたいがい悪意の弾をこめる。
彼女に劣情を抱いている男や、片想いをしている少年、劣等感を抱く女、
そして彼女をおとしめたい少女が、ひっそりと、かつエゴイスティックに語り出す。
彼女にまつわる心理展覧図はどこまでも繁(しげ)るが、真実の正体は誰が知るのか──。