月ばかり眺めていたプラリネは愛することができない
まだ恋を知らない大学生の薬子は、深夜コインランドリーで洗濯するのが日課だった。そして、その帰り道、夜空に浮かぶ月を仰ぎ見るのが密かな楽しみだった。
ある晩、見知らぬ女性から息子の話し相手になってほしいと声をかけられ、薬子が女性の屋敷を訪ねると、飛鳥という名の青年が「ぼくと君は同じ月族の人間だから」と前置きをして、壮大なドラマを語りはじめる。
月の王族の血を引く美しい少女プラリネは、幼い頃から月ばかりを眺め、特定の男性を愛することができなかったという。薬子はしだいにこの物語の世界に惹きこまれていくのだった。
月の光に導かれ、愛の神髄へと迫る月族シリーズ第一巻。
編集者からのおすすめ情報
謎の作家が描く「月族」をめぐる時空を超えたファンタジー。夜空を見上げて月が気になる方はどうか一読を。