古代から中世までを幻視し、日本精神史の系譜をたどる躍動する魂の軌跡
想念のおもむくまま日本人の精神史の系譜を旅する梅原古代学の応用編。縄文・弥生の遺跡・遺物に古代人の死と再生の世界観を幻視し、「枕草子」の女たちの甲高い笑い声に痛烈な体制批判を幻視し、「北野天神縁起絵巻」に怨霊のすさまじい復讐を幻視する。また天狗や鬼の活躍する中世の伝承や物語のなかに、たくましい想像力を幻視することによって幻の如く現れるヴィジョンを形象化し、歴史の真実に迫り、日本人の魂の原郷を探ろうとする。
あふれる情熱と豊かな想像力で真理を探究し、人間とは何か、日本とは何かを深く思索つづけてきた梅原猛。哲学、歴史、文学、宗教、芸術など既存の枠組を越える壮大でユニークな作品群は「梅原日本学」とも称され、多くの読者を獲得してきました。本著作集では、主要著作に、新たに書き下ろし作品「法然の哀しみ」を加え、「教育問題」「地球環境問題」「長江文明論」など、著者が全力で取り組んでいる最新のテーマ作品も網羅。